【骨盤底筋群ということばが好きな理由】
- 株式会社 SALES AGENCY
- 2023年11月30日
- 読了時間: 3分
骨盤底の話をしましょう。
骨盤底とは、骨盤の骨と骨の間の空間に張られた「筋肉でつくられた膜」のことです。
まず、簡単のために、「バケツの底」をイメージしてみてください。バケツの「底」が骨盤底に当たると考えると、なんとなく人間の腹腔がイメージされるのではないでしょうか。
もちろん、4本足で歩行する動物でも骨盤底にあたる筋肉の膜ありますね。でも、本当の意味で「底」といえるのは、人間のような2本足で直立する動物だけです。バケツを横にしていては、底は「底」とはいえないですね。
その骨盤底の「筋肉」という性質に注目して呼ぶときは、骨盤底筋群という言葉を使います。ちなみに、私はこちらの言葉のほうが好きです。それは、「機能」を考慮に入れた言葉だからです。
骨盤底はバケツの底をイメージするのでしたから、バケツが水を支えているように、骨盤底は内臓が下に落ちないように支えていると考えていいのでしたね。実は、それが、私が骨盤底という言葉があまり好きではない理由とつながるのです。
本当は、骨盤底は内臓を支えているばかりではありませんね。骨盤底の大事な点は、骨盤底を尿と便が通過するという点なのです。そう、尿道と直腸肛門管が通過しているのですね。そのために、骨盤底が複雑になり、複雑になるということは、とりもなおさず、いろいろな疾患が生まれる温床になるということなのですね。
バケツはバケツでも穴あきバケツというわけですね。
でも、この穴あきバケツは、そう簡単には、水を漏らさないし、水を捨てたいときは、上手い具合に、底の穴から、水が抜けてくれるのですね。そして、もっと賢いことには、水だけでなく、泥状の物質や、かなり硬い、固体も、上手い具合に、排出したりするのですね。早々、ガスだって、出しますし、ガスと、それ以外のものを分けて出すことだってできるのです。
骨盤底は、不要なときは尿や便が漏れないようにし、必要なときだけ、尿と便が出るように、コントロールしているのです。そして、便に混じったガスをガスだけわけで出すこともできる。これらの「機能」に注目すると、自然、骨盤底のことを「骨盤底筋群」と呼びたくなりませんか。
ちなみに、便の場合は、肛門括約筋とその上に連続して位置する、恥骨直腸筋が排便に重要な働きをしています。
骨盤底筋群は随意筋(横紋筋)でできる筋肉で、手や足にある筋肉と同じ仲間の筋肉なのです。しかし、手や足の筋肉は動かすときだけ働き、休んでいるときは、ほとんど完全に休んでいるのですが、一方、骨盤底筋群の筋肉は一見休んでいると思われるときでも、筋肉は、常にある程度の収縮をしています。これは、筋電図検査をすると、筋電図波形が常にみられることから、わかります。
これを肛門管のトーヌスという言葉で表現しているのですが、筋電図とトーヌスの話は、また、別の機会に詳しくしましょう。
【the web 大腸・肛門・骨盤底疾患スペシャル】
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