【過敏性大腸症】
- 株式会社 SALES AGENCY
- 2023年11月30日
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過敏性大腸症の方が、私の下へ転院してくると、決まって、「前の医者では、自律神経失調症といわれていました」と言います。うーん、いいえて妙かなーとも思います。
自律神経失調症という病気も、なかなか実態のつかめない病気でありながら、その名前自体が、けっこう魅力的で、そう診断されると、医者も患者も、そうかと納得してしまうところのある、不思議な病名です。
過敏性大腸症は、器質的な病変がなく(つまり、ガンとか潰瘍とか大腸炎がないという意味です)、下痢と便秘を繰り返す病態の総称です。下痢が主体の方もいますし、便秘が主体の方もいます。もともとがあいまいな定義の病気でしたので、診断基準を設けて診断を精密にするようになっていますが、そもそも、症状から診断しなければならない病気ですので、結局何処まで厳密にしても、あいまいさが残ります。たとえていえば、子供と大人の境界線を引くようなものです。学問をするには、厳密な定義か大事ですが、一人一人の患者を診るのには、経験が大事だと痛感させられる病気の一つです。
試験前に、下痢になったり、旅行に行くと便秘になったりするのは、誰でも、経験するところですが、ことほど左様に、気持ちと腸は密接に関連づけられているのです。そのバランスが崩れて症状を伴った状態と考えれば、病気の全体像はつかめたといえるでしょう。これは、前節の大腸憩室疾患でお話したのと似ている病体も含みますし、一部重なると考えてもよいと思います。
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