【痔と直腸癌 痔という病気】
- 株式会社 SALES AGENCY
- 2023年11月30日
- 読了時間: 3分
痔と直腸癌は、関係が深いというか、関係が無いというか、とにかく、関連付けて考えなければならない、疾患です。しかし、まず、「痔」について説明しましょう。
痔という言葉は、便利な言葉です。
もともと、痔という漢字は、肛門を外から眺めたときの形、つまり、菊のご紋のような形、に、寺という漢字が似ているために、それにやまいだれをつけて、肛門の病気を意味するようになったのだという、説があります。どこまで正しいかわかりませんが、ことほど左様に、痔という言葉は、肛門部の疾患、ということを示す言葉なのです。
ですから、わたしは痔です。という言葉は、わたしは、肛門の何らかの病気です。という意味であって、近代医学で言うところの「病名」を示す言葉ではないのですね。
ですから、「痔」は、とても便利な言葉といえます。
「わたしは、痔です。」「貴方は、痔です。」には、間違いがありません。患者さんが使えば、わたしは、肛門が何らかの病気ですということを伝えられますし、医師が使えば、この方は、肛門の疾患だということを表現できるので、「誤診」はないからです。
しかし、専門医にとっては、何も意味しない言葉でもあります。
「肛門の病気だということは100も承知だ。専門医の前に来ているのだからね」。
時には、「痔」を「病名」と勘違いしている患者さんや、いやはや、お医者さんもいるのですが、そういう方と話をしていると、頓珍漢な笑い話を演じなければならないこともあります。
患者『わたしは痔です』
専門医『わかりました、では、何の病気か調べてから治療しましょう。』
患者「わたしは、痔なのですよ。前の病院でも医者からそういわれました。」
専門医「ですから、病気が何なのか、よく調べましょうね。」
患者「わたしは痔だと言っているでしょう。なせ、余計なことをするのだ!」
この会話をおかしいと感じない方もいるかもしれません。それほど、痔という言葉を病名と、体の髄から信じてしまっているのですね。「痔」という言葉を、「病気」という言葉に置き換えて繰り返せば、わかりやすくなるかもしれません。もう1度、このダイアローグを繰り返しましょう。
患者『わたしは病気です』
専門医『わかりました、では、何の病気か調べてから治療しましょう。』
患者「わたしは、病気なのですよ。前の病院でも医者からそういわれました。」
専門医「ですから、病気が何なのか、よく調べましょうね。」
患者「わたしは病気だと言っているでしょう。なせ、余計なことをするのだ!」
この小文の要点:「痔」は、肛門の何らかの病気を示す言葉であり、病名ではない。
この小文からの発展:だから、「痔のくすり」はない。これは、何にでも利く薬というような魔法の薬が存在しないのと同じである。 【the web 大腸・肛門・骨盤底疾患スペシャル】
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